(9)◆防腐殺菌剤
細菌やウイルスなどの生き物にとって毒のようなものということは、ヒトにも毒ということです。
ただ免疫機構をすりぬけて体内に入り込んで繁殖した病原微生物を、これらの毒で退治することで長生きできるようになったのも確かです。
それ以上に衛生環境が改善され、天然痘やマラリア、デング熱などの病原微生物が減ったのも大きいようです。
また食生活がよくなり、ヒトの免疫機構が向上し、結核その他日和見感染症の発症が減少したことも大きい。
防腐剤は、ヒトが腐ったものを食べない・摂取しないために添加されているように思われているが、むしろ製造者がその製品が細菌・真菌が増えにくくして、製品価値を高めているだけです。
発がん性や変異原性などの危険性もあります。
天然エキスなどにも抗菌効果をもつものがたくさんあります。
使用目的により配合制限があります。
亜硫酸ナトリウムsodium sulfite(Na2SO3、防腐剤(肉類など)・ドライフルーツの退色防止)
安息香酸★(BA(benzoic acid)、防腐剤、ADHDの原因の一つ)
・安息香酸塩類(シャンプーなどに):カリウム(飲料・漬け物など酸性食品に使用)、ナトリウム(飲料)
・安息香酸パントテニルエチルエーテルpanthenyl ethylether benzoate
(防腐剤(石けん・シャンプー・リンスなどに))、
イソチアゾリノン系isothiazolinon★
(1,2tiazol-3-one、強い殺菌・防カビ・保湿・防腐剤、パラベンに代わるものとして登場したがパラベンより接触皮膚炎は多い、シャンプー・化粧品・のり・壁用接着剤・冷却水殺菌剤・塗料(シックハウスの原因にも)、ウェットティッシュ・冷感グッズ・ポリビニルアルコール(PVA)製タオル、シャンプーなどリンスオフのみ許可(2004よりメチルイソチアゾリノンのみ流さない化粧品にも許可され広く利用)
・ケーソンCG★MIT/CMIT
(リンスオフ化粧品、メチルクロロイソチアゾリノン+メチルイソチアゾリノンの合剤、接触皮膚炎多い)、
・メチルイソチアゾリノン★methylisothiazolinoneMIT
(CH5NOS、化粧品・シャンプー・リンス・トイレタリーに、接触皮膚炎)
・メチルクロロイソチアゾリノン★CMIT
(化粧品・シャンプー・リンス・トイレタリーに、接触皮膚炎)
・オクチルイソチアゾリノン★OIT
(塗料工場で使用、職業性接触皮膚炎の報告多い)
イソプロピルメチルフェノール(チモール)★2-isopropyl-3-methylphenol(iPMP)(C10H14O、殺菌消毒効果はフェノールより強い、刺激性・刺激強い・わきが防臭、紫外線吸収性)、
・イソプロピルメチルエーテル★
(刺激強い)
イミダゾリジニルウレア★imidazolidinyl urea(C11H16O8、ドナー型防腐剤、分解するとホルマリン・尿素が発生、ドナー型防腐剤は他に現在DMDMヒダントインのみ許可)
ウンデシン酸、塩類★?
感光素(成分ははっきりしないので評価難しい、黄色ブドウ球菌殺菌効果は201(ビオニン)が最も強く、次に101、301(タカナール)、401(ルミカーナ)には抗菌活性はない)
塩化セチルビリジニウム★cetylpyridinium chloride
(C21H38NCl、ピリジン環のある陽イオン界面活性剤4級アンモニウム塩、強い殺菌防腐剤歯磨き・トローチ(スプロール)・うがい薬)、
・塩化ベンザルコニウム★benzalkonium chloride
(ベンザルコニウムクロリド、陽イオン界面活性剤4級アンモニウム塩、
防腐殺菌消毒剤、逆性石けん、オスバン・ヂアミトール・クリンアーズ・サニゾール・ウエルパスなどの消毒剤、ヘアリンス・トリートメント基剤、点眼剤・コンタクト用液にも使用、接触皮膚炎が多い)
・塩化ベンゼトニウム★benzethonium chloride(陽イオン界面活性剤4級アンモニウム塩、殺菌防腐消毒剤、マキロン・逆性石けん(ハイアミン・エンゼトニン・ベゼトン)などの消毒剤・制汗剤)
10,10-オキシビス★(フェノキシアルシン)(OBPA)(人工皮革の椅子による接触皮膚炎)
オルトフェニルフェノール★o-phenylphenol(OPP)、Na
(防カビ剤、主に柑橘系ポストハーベスト農薬として、ビフェニル・チアベンダゾールととともに使用、輸入柑橘類要注意)
・オルトフタルアルデヒド★o-phthalaldehyde(C6H4(CHO)2、紫外線弱い・酸化されやすい、蛍光試薬・医療用消毒薬(ディスオーバ)、アナフィラキシーショックの報告がある)
クオタニウム-73(淡黄色のシアニン色素、抗菌剤)
グルコン酸クロルヘキシジン★
(ヒビテンなどの消毒剤、毒性強い、ときにアナフィラキシーショックなどの強いアレルギーを起こす、接触皮膚炎もある、オロナインH軟膏の主成分)、
・クロルヘキシジン★chlorhexidine(医薬用殺菌薬、グルコン酸塩・塩酸塩・酢酸塩で使用)、
・塩酸クロルヘキシジン★
グルタルアルデヒド★glutaraldehyde
(C3H6(CHO)2、融点-14℃、殺菌消毒剤(ステリハイド・グルタラール)・固定液、毒性・刺激性、接触皮膚炎・化学物質過敏症の報告)
クロロキシレノールchloroxylenol(4-chloro-3,5-dimethylphenol)★
(C8H9ClO、融点115℃、弱い抗菌剤、家庭用消毒剤・洗濯槽消毒剤・石けんなどに、接触皮膚炎、クロロクレゾールと交叉反応)
・クロロクレゾール★chlorocresol(C7H7ClO、防腐剤、接触皮膚炎)
・クロロブタノール★chlorobutanol(CCl3CH2OH、医薬品防腐剤、点眼剤(ジクロード)・注射薬(ボスミン))
・クロラミンT ★chloramineT(消毒剤・殺菌剤、求電子活性、水中で分解次亜塩素酸を発生)
クレゾールcresol
(o-,m-,p-の3種、腐食性で皮膚につけばすぐに洗い流すこと、クレゾール石けん・くみ取り便所ウジ殺し)
クロタミトン★crotamiton(C13H17NO、疥癬治療薬として開発・かゆみ止め、
オイラックス他に配合、接触皮膚炎・メトヘモグロビン血症)
抗菌剤★
(抗生物質はどんなものでも起きやすい可能性がある。外用剤だけのものは特に接触皮膚炎が多い。細菌・カビの抗菌剤どれでも起きる。眼科用外用剤のように防腐剤として入っているものもある)
・フラジオマイシン★fradiomycin(アミノグリコシド系抗菌剤ネオマイシンneomycin、腎毒性・聴毒性が強く主に外用剤。眼軟膏(ネオメドロールEEなど)にも頻用されている、接触皮膚炎多い)
・ゲンタマイシン★gentamicin(アミノグリコシド系抗菌剤(ゲンタシン)、熱に安定、主にグラム陰性菌に、腎毒性・聴毒性が強く主に外用剤)
・フシジン酸Na sodium fucidate(ステロイド骨格のある抗菌剤、主に黄色ブドウ球菌に、フシジンレオ軟膏として処方)
抗真菌薬★
(いわゆるカビ・水虫のクスリ、いろんな種類がある、接触皮膚炎を起こしやすいタイプもある、内服すると腎障害など副作用が強いものも多い)
・ポリエン系抗真菌剤
(アンホテリシンB(ファンギゾン、内服・うがい薬はあるが外用剤はない)、ナイスタチン)
・フロロピリミジン系抗真菌剤
(フルシトシン(アンコチル))
・イミダゾール系(アゾール系)抗真菌薬★
(2個の窒素を含む五員環(イミダゾール環)あり、エルゴステロール合成阻害、
ミコナゾール(フロリードF外用剤に内服注射もある)・ビホナゾール(マイコスポール)★・ラノコナゾール(アスタット)★・ケトコナゾール(ニゾラール)・ルリコナゾール(ルリコン)★・クロトリマゾール(エンペシド)・ネチコナゾール(アトラント)★、接触皮膚炎が起きやすいものがある)
・トリアゾール系
(3個の窒素を含む五員環(トリアゾール環)、エルゴステロール合成阻害、
フルコナゾール(ジフルカン)・イトラコナゾール(イトリゾール)、エフィコナゾール★(クレナフィンL、爪白癬に、周囲の皮膚につくと接触皮膚炎が起きることがある、高価))
・アリルアミン系抗真菌剤
(テルビナフィン(ラミシール、爪白癬で内服(肝障害・白血球減少注意))
・ベンジルアミン系抗真菌剤
(ブテナフィン(メンタックス・ボレー)、テルビナフィンの類縁体、エルゴステロール合成阻害、カンジダには効きにくい)
・キャンディン系抗真菌剤
(深在性真菌症(カンジダ・アスペルギルスなど)に用いられる、
ミカファンギン(ファンガード・マイカミン))
・チオカルバミン酸系抗真菌剤
(トルナフタート(ハイアラージン)、カンジダには効かない、エルゴステロール合成阻害)
サリチル酸(SA) (シャンプーなどに)
サリチル酸塩類
1,3-ジメチロール-5,5-ジメチルヒダントイン★dimethyloldimethyl hydantoin
(DMDMヒダントイン、ホルムアルデヒドドナー型防腐剤、シャンプー・リンス)
臭化アルキルイソキノリウムlauryl isoquinolinium bromide(界面活性剤・防腐殺菌剤・帯電防止剤・消臭剤、洗車・家具・カーペット・清掃用品)
臭化ドミフェンdomiphen bromide(C22H40BrNO、陽イオン界面活性剤第4級アンモニウム塩、殺菌消毒防腐剤・消臭・口腔ケア(オラドールトローチ))
ソルビン酸、塩類sorbic acid(ヘキサ-2,4-ジエン酸C5H7COOH、保存料・抗カビ・抗菌、酸性で効果強い、ナナカマドの一種から発見)
ジンクピリチオン★zinc pyrithione(C10H8N2O2S2Zn有機亜鉛錯体ピリジン誘導体、抗菌防腐剤・抗ふけ剤、環境ホルモン、2006まで花王メリットに配合・P&Gのh&sには配合)
チアントールthianthol(C14H12S2、疥癬・水虫)
チウラムthiuram・チラム(テトラメチルチウラムジスルフィドTMTD、農薬(殺菌・忌避剤)・ゴム加硫促進剤、接触皮膚炎)
チモール★thymol(モノテルペン誘導体C10H14O、防腐・殺菌剤、タイム様香気、サロメチール・アンメルツ・リステリン(うがい薬)・歯磨き・石けん・外用剤に配合)
チメロサールthimerosal★(有機水銀化合物、防腐・殺菌剤、以前はワクチンに配合し自閉症の原因の一つと、現在インフルエンザワクチン・B型肝炎ワクチンに含有しているが量は以前より少ない)
2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルホニル)ピリジン★
(TCMSP、防カビ剤、デスクマット・ヘルメット・塗料、コクヨ製デスクマットで接触皮膚炎を起こし回収になったことがある)
デヒドロ酢酸dehydroacetic acid、塩類★(DA)(ピロンの誘導体、融点109℃、防カビ・抗菌・可塑剤、イチゴ・カボチャ・漬け物に、主にNa塩で、接触皮膚炎・染色体異常)
ドクダミエキス★(コショウ目ドクダミ科、抗菌作用(decanoylacetoaldehyde、laurylaldehyde、臭気成分)・利尿・動脈硬化予防(quercitrin)、高カリウム血症・肝障害の副作用)
トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル★(トリクロサンtriclosan、抗菌剤(化粧品・石けん・シャンプー・リンス)・ふけとり剤、接触皮膚炎・発癌性の報告)
・トリクロロカルバニリド★trichlorocarbanilide(トリクロカルバンtrichlocarban)(C13H9Cl3N2O、防腐・殺菌剤、固形・液体石けんに使用、接触皮膚炎・発癌性)
パラオキシ安息香酸エステル★p-hydroxybenzoate、Na塩(パラベンparaben)★(C6H4(OH)COOR、非イオン界面活性剤。pH8以上で加水分解、油に溶けやすく、蛋白質で不活化。ポリフェノールに分類され野菜果物にある、静菌作用、主に飲料向け防腐剤0.1g/kg(とくに栄養ドリンクなどに多く含まれる)、食品・医薬品・化粧品の防腐剤、接触皮膚炎多い、内分泌攪乱物質の一つ)
・メチル(MP)、
・エチル(EP)、
・プロピル(PP)、
・イソプロピル(iPP)、
・ブチル(BP)、
・イソブチル(iBP)、
・ベンジル(抗菌活性強くなる)。
パラクロルフェノール★parachlorophenol(染料・殺菌剤(メトコール(虫歯歯髄炎治療))・シャンプー・リンス、接触皮膚炎・有毒)
パルミチン酸レチノール★(VA誘導体、ニキビに、接触皮膚炎・アナフィラキシーショックの報告)
ヒノキチオール★hinokitiol(C10H12O2、トロポロン誘導体、融点51℃、
最初タイワンヒノキから発見、香料(歯磨き・ヘヤトニック)・抗菌剤、催奇形性あり、接触皮膚炎(とくにスギ・ヒノキ花粉症のある患者さんに))
ピロガロールpyrogallol(焦性没食子酸)(多くの植物に含有、色材原料・現像液・消毒、融点131℃)
ピロクトンオラミンpiroctone olamine(C16H30N2O3、殺菌・抗カビ・防腐剤・育毛・フケとり、商品名オクトピロックス)
フェノキシエタノールphenoxyethanol
(弱い防腐剤、お茶などにも含まれる天然成分だが、天然だから安全とは限らない、化粧品の溶剤にも)(PE)
フェノール★
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロビニルiodopropynyl butylcarbamate (C8H12INO2、防腐剤)
フマル酸ジメチル★dimethyl fumarate(C6H8O4、DMF、常温で昇華、防カビ・抗炎症・神経保護(多発性硬化症治療薬にも)、中国製家具・革クツ類・クロックス、接触皮膚炎多発)、
・フマル酸ジエチル★(DEF)、
・フマル酸ジブチル★dibutyl fumarate(DBF)、
マレイン酸ジメチル★dimethyl maleate(DMF)(C6H8O4、DMM、シス体(トランス体はフマル酸C2H2(COOH)2)、接触皮膚炎・有毒):
・マレイン酸ジエチルdiethyl maleate(DEM)、
・マレイン酸ジブチル★dibutyl maleate(DBM)(ラック製品から検出、接触皮膚炎)
α-ブロモシンナムアルデヒド★bromocinnamaldehyde(C9H7BrO、防かびシート、昇華性、接触皮膚炎の報告が皮膚誌に)
ヘキサクロロフェン★hexachlorophene(消毒剤、家庭用洗剤・化粧品、
光アレルギー性・乳児に神経毒性)
ヘキシレングリコール★hexylene glycol(2-methylpentane-2,4-diol、C6H14O2、化粧品原料(防腐効果のある保湿剤)・ドライクリーニング用洗剤・油性オイル・木材などの殺菌防腐剤・皮革紙繊維などの浸透剤軟化剤、
接触皮膚炎)
ポリアミノプロピルビグアナイドpolyaminopropyl biguanide(防腐剤)
ポピヨンヨード★
(ポリビニルピロリドンとヨウ素の複合体、黒褐色の外用消毒剤・うがい薬、
以前よりイソジンとして知られている、抗菌・抗カビ剤、まれにアナフィラキシーショック、接触皮膚炎、ヨード過剰症も心配で、甲状腺疾患患者は使用しない方がよい)
・ヨードホルム★(トリヨードメタンCHI3、殺菌作用、トリハロメタンの一種)
・ヨードチンキ★(ヨウチン、ヨウ素をエタノールに溶かしたものにヨウ化カリウム添加、家庭用消毒剤)
・ルゴール液★(ヨウ素をグリセリンに溶かしたものにヨウ化カリウム添加)
マーキュロクロム液★(主成分メルブロミンの化学式には臭素の他に水銀が含まれる、赤チンとして、安価な消毒剤として)
マキロンs★(赤チンがしみる・色がつくとして代わって普及、塩化ベンゼトニウム・アラントイン・マレイン酸クロルフェニラミン(抗ヒスタミン剤)・ジブカイン(局所麻酔剤)・ナファゾリン(血管収縮剤)など消毒に必要がない成分が含まれ、おすすめできない)
木酢液(もくさくえき)★(木材の乾留液の上澄み、備長炭などから、弱酸性、消毒・抗菌・入浴剤、ときに変異原性・接触皮膚炎)、
・竹酢液★
ラウリルジアミノエチルグリシンNasodium lauryl diethylenediaminoglycinate
(殺菌・消毒・洗浄、主に口腔用うがい薬)
PEGラウリルグリコール(シャンプーリンス・化粧品に、抗菌・抗真菌効果、増粘性)
ラウロイルサルコシンNa★sodium lauroyl sarcosinate(ココイルサルコシンNa・ヤシ油脂肪酸サルコシンNa、殺菌性、アミノ酸系界面活性剤、シャンプー・リンス・洗浄剤、接触皮膚炎)
レゾルシン(レゾルシノールresorcinol, C6H4(OH)2、強い還元作用、 →毛染め<、殺菌・防腐・タイヤ木材の接着剤原料・蛍光染料原料・皮革なめし剤、三井化学岩国大竹工場で爆発事故)
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