1. アトピー性皮膚炎外来患者の重症度
2. 外来でのステロイド外用剤の使用量と効果についての調査
注:年齢が高くなればなるほど、湿疹は重症の割合が徐々に増えます。
子供の軽い湿疹はよくなって、重症のものだけが残ったと考えることもできます。
羽曳野病院は主に重症患者ばかり集まってくる傾向がありましたので、30歳以上で重症以上が半数以上を占めているというのは当然かも知れません。
注:顔面の湿疹は乳児期を過ぎると軽くなります。
しかし、10歳ころから再び悪化する傾向があります。
小学生のときは、顔面の湿疹が中等症以上の割合はせいぜい30%程度です。
この割合は、成人に近づくと70%近くなります。
当科初診時、それまで他医でステロイドをもらっていたか質問すると、乳児は30%程度、その他の年代は大体70%程度がすでにステロイドを外用しています。
左側の棒グラフは、0歳の初診時、ステロイド外用剤を用いていない患者さんが、ステロイド外用剤を使わないで経過をみたとき、1年後には、全体の40%はほぼ治癒していますが、20%は初診時よりも悪化しているということです。
ステロイド外用剤を用いて治療すれば、症状が悪化する割合は減りますが、治癒の割合については何ともいえません。
右側の棒グラフは、0歳初診時、すでにステロイド外用剤を用いていた患者さんです。
0g/月ということは、それまで使用していたステロイド外用剤を止めたということを表しますが、1年後60%で改善、15%くらいがさらに悪化したということです。
5g/月以上用いた比較的ステロイド外用剤の多いグループは、50%が治癒しましたが、20%はさらに悪化しています。
このグループには重症患者さんの割合が多いということです。
0歳児、10〜19歳のいずれの年代とも、すでにステロイドを外用しているグループは、それを全く中止してしまうより、少量使う方がよい結果になっています。
しかし、それまで外用していないグループは、ステロイドの外用でかえって悪化する患者もいます。乳児は外用する方がよいようですが、外用剤を使わないでもよくなった患者はいます。
1993年当時を見ると、大阪府立羽曳野病院では、初診のアトピー性皮膚炎患者さんは、いずれの年齢とも半数程度はステロイドなしで治療しています。
しかし、1カ月当たりのステロイド外用量は年齢とともに増加し、10歳を過ぎると20%以上は10g/月以上外用しています。
最近は外用剤を使用している割合が増加しています。
以上、最近ひどくなってきたためにステロイドを外用していないか、あえてステロイドを使っていない患者が半数くらいを占めているということです。
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