(22).自律神経失調症
採血のとき、血圧が低下して気を失う若い男性がいます。
神経性ショックのひとつで、針を見ただけで倒れる若者もいます。
神経性ショックは、アナフィラキシーショックよりはるかに多く経験します。
こんなエピソードの他に、風呂場などで急に立ち上がったときふわーとする起立性低血圧、その他車酔い、赤面症などいろんな症状があります。
自律神経は、交感神経と副交感神経に分かれます。
交感神経は血圧を高くしたり、気道を開いたりする働きがあります。
喘息発作のときに使われる薬剤は、交感神経を刺激して働かせるクスリです。
アレルギー患者はこの交感神経が十分働いていないために、緊張して逆に血圧が低下したり、気管支が狭くなると考えられます。
緊張していると、交感神経が働いているためにかゆみが少ないようです。
夜間は、主として副交感神経が働いているために、喘息発作が起こりやすく、かゆみが強くなる傾向があります。
湿疹がひどくなると、昼間汗が出ないのに、夜間大量に寝汗をかくことがあります。
これは、一種の自律神経失調症と考えられます。
対策として、昼間十分運動して、汗をかくようにすすめています。
ストレスの影響で下痢になったり、便秘になったりするのも、自律神経失調症の所見の一つと考えられます。
自律神経系の応答 |
効果器 |
副交感神経系
応答 |
交感神経系 |
受容体 |
応答 |
眼 |
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|
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散瞳筋 |
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α1 |
収縮(散瞳) |
縮瞳筋 |
収縮(縮瞳) |
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|
毛様体筋 |
近くを見るために収縮 |
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心臓 |
|
|
|
洞房結節 |
心拍数減少 |
β1 |
心拍数増加 |
心房・心室 |
収縮力減少 |
β1、β2 |
収縮力増加 |
房室結節とプルニエ線維 |
伝導速度減少 |
β1、β2 |
伝導速度増加 |
細動脈 |
|
|
|
冠状血管 |
− |
α1、α2 |
収縮 |
|
β2 |
拡張 |
皮膚と粘膜 |
− |
α1、α2 |
収縮 |
骨格筋 |
− |
α1 |
収縮 |
|
β2、M |
拡張 |
腹部内臓 |
|
α1 |
収縮 |
唾液腺 |
拡張 |
α1、α2 |
収縮 |
腎臓 |
− |
α1 |
収縮 |
体循環静脈 |
− |
α1、α2 |
収縮 |
|
β2 |
拡張 |
肺 |
|
|
|
気管支筋 |
収縮 |
β2 |
弛緩 |
胃 |
|
|
|
運動と緊張 |
増加 |
α1、α2、β2 |
減少 |
括約筋 |
弛緩 |
α1 |
|
分泌 |
刺激 |
? |
抑制 |
腸 |
|
|
|
運動と緊張 |
増加 |
α1、α2、β1、β2 |
減少 |
括約筋 |
弛緩 |
α1 |
収縮 |
分泌 |
刺激 |
? |
抑制 |
胆嚢 |
収縮 |
β2 |
弛緩 |
膀胱 |
|
|
|
排尿筋 |
収縮 |
β2 |
弛緩 |
括約筋 |
弛緩 |
α1 |
収縮 |
子宮 |
不定 |
α1 |
収縮(妊娠時) |
|
β2 |
弛緩 |
男性性器 |
勃起 |
α1 |
射精 |
皮膚 |
|
|
|
立毛筋 |
− |
α1 |
収縮 |
汗腺 |
− |
α1 |
軽度で局所的な分泌 |
|
M |
全身性の多量分泌 |
肝臓 |
− |
α1、β2 |
グリコーゲン分解 |
膵臓 |
|
|
|
外分泌腺 |
分泌増加 |
α |
分泌減少 |
内分泌腺 |
|
α2 |
分泌抑制 |
唾液腺 |
多量漿液性の分泌 |
α1 |
濃厚で粘調な分泌 |
|
β |
アミラーゼ分泌 |
涙腺 |
分泌 |
|
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脂肪組織 |
− |
α1、β3 |
脂肪分解 |
(ギャノング生理学23版による)
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