付4:大阪府アトピー性皮膚炎調査報告書(環境による影響)の抜粋

                                                                    
大阪府下の皮膚科医の協力を得て、1999年8〜9月にかけて行われた調査である。

 現在のところまだ結果が公表されていないので、具体的な数値は省いて、簡単に結果のみ示すことにする。詳細は大阪府庁保健予防課に問い合わせていただきたい。

 対象は、アトピー性皮膚炎患者5162名(男2397名、女2645名、平均年齢23.6歳)とコントロール群4246名(男1591名、女2564名、平均年齢28.94歳)である。

 アトピー性皮膚炎患者は、コントロール群に比べて、片側2車線以上の幹線道路に近いところに住み、自宅以外の長くいる場所についても、片側2車線以上の幹線道路に近くなっていた。しかし、これらは、アトピー性皮膚炎の重症度と関連はなかった。
 自動車やバイクに乗っている時間は両群で差がなかったが、アトピー性皮膚炎でみると重症患者ほど長くなっていた。
 住居近くの交通量は両群で差がなかった。

 アトピー性皮膚炎患者は住居の居住年数が短くなっていたが、築年数については差がなかった。
 居住年数はアトピー性皮膚炎の重症度と関連はなかった。家具の購入、改装・改築は両群で差がなかった。

 アトピー性皮膚炎患者は、寝室の床がフローリングが多く、じゅうたん・カーペットが少なくなっていた。重症患者ほどフローリングが多く、じゅうたん・カーぺットが少なくなっていた。
 両群で掃除の回数に差はなかったが、アトピー性皮膚炎は重症患者ほど掃除の回数が多くなっていた。

 男女でみると、女性では、アトピー性皮膚炎患者はコントロール群に比べて、片側2車線以上の幹線道路に近いところに住み、一戸建てよりも集合住宅に多く住んでいた。また、アトピー性皮膚炎の女性において、重症患者ほど掃除の回数が多くなっていた。
 一方、男性では、自動車やバイクに乗っている時間はアトピー性皮膚炎患者はコントロール群よりむしろ短くなっていたが、アトピー性皮膚炎患者をみると重症患者ほど長くなっていた。

 気管支喘息を合併するアトピー性皮膚炎患者は、合併しない群に比べて、住居近くの交通量が多く、住居の居住年数が短くなっていた。アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎の合併の有無は関係なかった。

 アトピー性皮膚炎で
難治性とされた患者は、むしろ居住年数が長く、自動車やバイクに乗っている時間も長くなっていた。

 以上のことから、アトピー性皮膚炎は
幹線道路の排気ガスによって悪化する可能性があると考えられる。

 ただし、結果を解釈するとき、何らかの原因が直接影響を及ぼしていると思われる場合と、患者が意識してその原因を排除していると考えられる場合に分けられる。
 後者の例として、アトピー性皮膚炎でフローリングが多くじゅうたんが少ないことが上げられる。
 しかし、一般常識から考えて
健康に好ましくないとされることがアトピー性皮膚炎で多ければ、その好ましくないことはアトピー性皮膚炎にとっても好ましくないと考えられる。
 そのようなものの多くは、お金がかかるからといった理由で簡単に解決できない側面を持っている



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