アトピー性皮膚炎と「受験勉強」

Q.
私立の中1の男の子です。
小5ころからそれまでよくなっていた湿疹が悪くなり、
ステロイド外用剤をもらっていますが、少しずつ広がっています。

A.
小学生〜中学生にかけては、人生のストレスも少なく、アトピー性皮膚炎にかかる患者が最も少ない時期です。
乳幼児期にかなりひどかった湿疹でも、小学生になりすっかりよくなったという例も少なくありません。

もちろん小学生になってよくできる湿疹というのもあります。
たとえば、花粉やダニ、ペットなど吸入アレルゲンのために、眼や鼻の周りが赤くなることがあります。
毎日長い時間座るようになり、汗と座ることの刺激のためにおしりに湿疹ができることもあります。

ほこりの多い塾で夜遅くまで勉強させられるようになり、折角よくなっていた湿疹が再燃したという例もあります。
睡眠不足やいろんなストレスは、小児期以降のアトピー性皮膚炎を悪くする最も重要な原因です。
学校生活を楽しめず、毎日遅くまで宿題とゲームでいそがしくしていれば、この例のように、湿疹が悪くならない方が不思議です。

受験が湿疹の悪化につながるのなら、そんなものはない方がよいということで、中高一貫も悪くないのかもしれません。
ただ、いつもテストばかりで心の安まる暇がなく、大学受験を常に頭に置いて勉強するのはちっとも楽しくない。
そう感じると、思わずいらいらしてかゆくなるのがアトピー性皮膚炎です。

それなら勉強もせず、のんびり遊んで過ごすのがよいのかというと、そうは問屋がおろしません。
常に他人と比較され、一方で漠然と自分の将来に不安感を持っていれば、勉強も何もしないというのも逆にストレスになります。

アトピー性皮膚炎などのアレルギー患者は、いろんなストレスとうまくつきあうのが下手とよく言われます。
ストレスを生活の糧のようにしている人もいる中にあって、いつもストレスをそのまま受け止めてしまうのがアトピー性皮膚炎患者です。
人生なるようにしかならないもの、むしろうまくいかない方が多いくらい、どうしてもできないこともあるというのを忘れて、常に一生懸命に、徹底的にやらないと気がすまないのがアトピーの性格です。
もちろん、患者のお母さんにも同じことが言えます。

次回はもう少しストレスや不眠の話を。


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