アトピー性皮膚炎と「化粧品」

Q.
最近、日光に当たるとすぐに赤くなり、仕方なく紫外線防止効果のある化粧品を使っています。
以前から顔にもアトピー性皮膚炎があり、非ステロイド系の外用剤でかぶれたことがあります。
(23歳女性)

A.
成人型のアトピー性皮膚炎の顔面の湿疹の原因はというと、
  @.化粧品、外用剤などの接触皮膚炎、
  A.自宅や仕事場で浴びているもの、
  B.ストレス、
  C.日光、
などが上げられます。

この女性の場合、日光も心配ですが、外用剤で接触皮膚炎(かぶれ)を起こしたことがあり、日光を避ける目的で使っている化粧品も大丈夫か心配です。

先月、紫外線は避けるようになってから、むしろ合わなくなると説明しましたが、化粧品についても同じようなことがいえます。
化粧品は使い始めると、使わないではいられなくなる傾向があります。
高校生くらいまでは、顔に何もぬらなくてもそれほど皮膚がかさかさしていなかったはずです。
とはいうものの、美容的見地からだけでなく、女性は化粧していると精神的に落ち着くところもあり、それなしで済ませられないところがあります。

となると、せめて接触皮膚炎を起こしにくい化粧品を選択するように指導するのですが、全く安心できるものがあるかというと、そんものはありません。
できるだけ保存料(バラベンなど)や香料の入っていないもの、花粉のアレルギーがあれば植物成分の入っていないもの、動物のアレルギーがあればラノリン(羊油)の含まないものを選びたいものです。

最近の化粧品は、以前からあった表示指定成分だけでなく、水などを含めた全成分を表示することが義務づけられています。
ただ一見して表示されたものが何のための化学物質なのか分からないことも多く、結局アレルギー患者向けの化粧品を選ぶことになるかもしれません。

アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎があるとき、日光防止のための化粧品は、できるだけ紫外線吸収剤を含まないもの、酸化チタンや酸化亜鉛などの紫外線散乱剤を主成分とするものを選択するように言っています。
また、日常生活で利用するときは、SPF(Sun Protecting Factor, UVB防止指数)やPA(Protection grade of UVA, UVA防止指数)がそれほど高くないもので、ある程度落としやすいものがよく、海水浴など強い紫外線に長い時間浴びるようなときと使い分けるようにしたいものです。

そうはいうものの、どんな化粧品でも接触皮膚炎を起こす可能性があり、紫外線も合わないとなると、結局化粧をひかえて日光を避ける以外にないのかもしれません。


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