アトピー性皮膚炎と「虫刺され」

Q.
2歳の女の子ですが、最近、蚊に刺されると、大きく腫れあがってなかなかよくなりません。
肘の内側と膝の後ろに軽い湿疹があって、汗をかくとかゆがります。
A.
春から夏にかけては虫さされが多くなるシーズンです。
大体は手足や顔など露出部を刺され、皮膚が柔らかいせいか、子供や女の人を虫は好むようです。
虫に刺されると、虫の唾液や毒(ときに毒針や毒棘も)が皮膚に入り、かゆみや痛みのある紅斑ができます。
刺されたものにアレルギーがあると大きく広がり、その後湿疹になったり、皮膚の壊死や、ハチアレルギーのようにアナフィラキシーショックを起こすものもあります。
ショックのときは、救命処置が必要であり、急いで救急車を呼ぶ方がよいと考えられます。

もともとアトピー性皮膚炎がある幼児は、虫に対してアレルギーが強いと、手足全体が赤く腫れたり、なかなかよくならず次の年までしこりとして残ったりします。
ドクガやイラガなど毒針毛が刺さって起きる皮膚炎も、アトピー体質があると普通よりひどくなり、ときに全身に拡大することもあります。
また、なおりにくいと、ひっかいてとびひ(伝染性膿痂疹)にもなりやすく、ガーゼや衣服で覆うなどある程度掻かせない工夫も必要です。

虫さされは服を着ていないところに多く、ジーンズなどをはいていると刺されにくいものです。
虫除けスプレーはかぶれやすい体質の人には好ましくありませんが、虫さされがひどいときはやむをえず衣類で覆えないところだけに使うこともあります。
衣類の下に虫さされができたときは、タンスや布団に虫がいないか調べる必要があります。物干場の近くのツバキの毛虫の毒針毛が風で飛んで衣類につき、それを着て虫さされができることもあります。
室内で犬猫を飼っていると、ペットアレルギーはともかく、ネコノミに足をよく刺されます。

虫に刺されたときは、まずセッケンでよく洗って流します。
腫れたときは局所は冷やし、虫さされの市販の薬をつけたり、ガーゼなどで覆って経過をみます。
かゆみに対してはかゆみ止めの飲み薬(抗ヒスタミン剤など)も多少は有効です。
炎症が強ければ、ステロイドを外用し、刺されたところ以外に症状が拡大するときは、ステロイドの内服が必要になることもあります。

虫さされの治療はというと、もちろん虫に刺されないのが一番です。


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