アトピー性皮膚炎と「金属アレルギー」

Q.
40歳の女です。数年前より下腿に湿疹があります。ステロイドをぬるといくらかましになりますが、
やめるとすぐに悪くなります。高校生ころからピアスやイヤリングで耳たぶに湿疹ができます。

A.
金属アレルギーが原因となっている発疹には、
  @.金属が直接皮膚に接触して起こるアレルギー性接触皮膚炎(ピアス、ネックレスなど)
  A.歯科金属、缶詰、なべから溶けだした金属を食べて起こるアレルギー性の発疹
に分けられる。

金属が吸収されて起こる症状としては、
  @.慢性蕁麻疹
  A.下腿などの貨幣状湿疹
  B.手のひらや足の裏の掌蹠膿疱症
  C.手指の小水疱
などがある。

対策としては、まずできている湿疹が金属が原因となっていることを証明する必要がある。

金属アレルギーの検査としてパッテストが行われるが、必ずしも陽性にならない。
特に、歯科金属では陽性になりにくい。他に金属によるリンパ球幼弱化試験があるが、誤った陽性が多く、結果の信頼性が乏しい。
金属の除去によって発疹がよくなるかみるのが最もよいが、歯科金属を簡単にはずすこともできず、この方法で診断するのは難しい。

薬剤で治療するとなると、蕁麻疹なら抗アレルギー剤の内服、湿疹ならばステロイドの外用以外にないが、原因が除かれていなければ、多少よくなる程度で、なかなか治癒するところまでには行かない。
ステロイド外用剤も、弱いものでは効果がない。
原因が体の中にあるだけに、ストレスなどで免疫が低下すると、急に悪化することも多い。

原因が金属アレルギーと分かれば、原因となっている金属を除去したり、避けるのが最善の策である。
ただしそれを言うのは簡単でも、実際やるのは大変。
歯科金属が原因と言われても、義歯を保険のきかないチタンやセラミックにやりかえるのは相当費用もかかり、どうしてもできないことも多い。
せめて新しく作る義歯だけでもアレルギーをおこしにくいものをすすめるが、全部やらないと意味がないこともある。
また、カドミウム米のように、産地ごとに含有量が異なっているが、金属は穀類、豆類、いも類などにも多く含まれている。
衣類などにも金属が用いられ、特にジーンズの金属が腹部に当たって湿疹がよくできる。
最近は抗菌剤として銀塩がいろんなところに使われ注意が必要である。


INDEX
Q&A