アトピー性皮膚炎と「かゆみ対策」

Q.
2歳の男の子です。
1歳を過ぎてから湿疹が体や手足にでるようになりました。
お風呂上がりや夜寝るときにかゆがります。

A.
アトピー性皮膚炎には掻きたくてがまんができない症状、すなわちかゆみが必ずあります。
そのかゆみのために夜寝られず、いらいらしたり睡眠不足にもなります。
かゆみのために引っ掻くと、湿疹はさらに悪化し、細菌がついて一層治りにくくなります。

かゆみは、肥満細胞から放出されるヒスタミンなどの物質が原因となるT型アレルギーによるものと、炎症反応によって好酸球やリンパ球から出てくる物質によるものに分けられます。
前者によるかゆみは抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤などのかゆみ止めが有効ですが、後者がかゆみの主体の時はステロイドを外用する以外にないかもしれません。
また、神経を直接刺激することで起こるかゆみもあり、この場合はどちらの薬剤も効果がないようです。

運動や入浴後など、汗かいて起こるかゆみについては次回詳しくお話ししますが、クスリで対処しにくいものです。

陰部のかゆみも治りにくい傾向があります。清潔症でごしごし洗いすぎが原因のことが多いのですが、陰部はもともと体温が高いためにかゆくなりやすく、思わず触ったり、尿や便の刺激が加わるために、ひどくなるとステロイドの外用をする以外にない場合もあります。下痢などが続いているとカンジダというカビにも注意が必要です。

背中、肩、腰の周囲、肘の外側、下肢前面などこすれやすいところは、冬季乾燥すると、衣類などで刺激されてかゆくなります。
セッケンで洗いすぎたり、衣類の洗剤が合わないことが原因になっている場合があります。
余り強い湿疹になっていなければ保湿剤で経過をみるのもよいでしょう。
紅斑が強ければステロイドを外用することになります。
赤みの程度が一日の間に変化するようなときは蕁麻疹が合併しており、かゆみ止めの飲み薬が有効です。

春先から夏にかけて、眼や鼻の回りがかゆいときは、花粉によるアレルギーが原因となっている場合が多く、抗原除去と飲み薬がよいでしょう。この時期、上肢などの露出部に日光蕁麻疹が見られることがあります。
何日も続く湿疹ではなく、時間がたてば消えてしまうような蕁麻疹のときは、日光を少しずつ当たっているうちに症状は出なくなります。

かゆみは他人には分からない嫌なものです。確かにひっかくと湿疹が悪くなったり、皮膚の感染症を起こすことがあります。
ただ、人から掻くなと言われると、こんなにかゆいのにと相手の理解のなさに腹も立ち、いらいらして掻きむしることにもなります。
むしろ一緒やさしく無難な程度に掻いてやる方がよいということになりますが、掻かされることが習慣になったり、それで夜に起こされたりすると家族が睡眠不足にもなります。
夜間のかゆみが強いときは、家族のためにも寝る前にかゆみ止めを飲んだ方がよいと考えられます。


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