アトピー性皮膚炎と「花粉症」

Q.
29歳の主婦です。
3年前に大阪市内から和歌山に引っ越してから、春になると花粉症が出ます。
顔もかゆくなり、赤味が出ます。

A.
花粉が原因で起こるアレルギー性鼻炎・結膜炎・咳などを花粉症と呼んでいます。
原因植物としては、樹木(スギ、ヒノキ、ブナ、ハンノキなど)、イネ科雑草(カモガヤ、オオアワガエリ、ナガハグサ、スズメノテッポウなど)、キク科雑草(ブタクサ、アキノキリンソウなど)がよく知られています。
その他には、サクラ、ウメなどのバラ科、キンモクセイなどのモクセイ科、クローバー、ニセアカシアなどのマメ科もアレルギーを起こすことがあります。

2〜3月はスギ花粉症の季節ですが、大阪と比べて和歌山市のスギ花粉が多いということはありません。
スギ花粉の飛散量は、関東や静岡のように北〜北西にスギにおおわれた山をかかえる地域に多い傾向があります。ただ同じ都市でも微妙な地域差があるかもしれません。昨年の関西のスギ花粉の飛散量は少な目でしたが、今年は多いという予想になっています。

花粉症の症状は、鼻炎(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)や結膜炎ですが、同時に皮膚症状も見られます。顔に直接、花粉がついて赤くなる場合もありますが、多くは、眼、鼻、気道の粘膜から花粉が吸い込まれて起こります。

眼の結膜から花粉が侵入すると、眼周囲が赤くなり、眼がかゆいためにひっかいてさらに悪くなります。
これを繰り返していると、色素沈着を起こし、パンダのようにもなります。鼻と口の間(鼻唇部)はたびたび鼻をかむために赤くなり、湿疹ができて盛り上がります。頬部もまた紅斑が生じます。副鼻腔炎が二次感染を伴って慢性化すると、顔面の湿疹は特に悪化する傾向があります。花粉のアレルギーが強いと、首、肘窩、膝窩などアトピー性皮膚炎の湿疹がよくできるところのかゆみや湿疹もひどくなります。

アトピー性皮膚炎の症状が重症化すると、それまで見られた鼻炎などの症状が表面的には消えてしまうことがあります。確かに鼻閉(鼻づまり)の症状があり、鼻の中を見ると、明らかに鼻炎の所見があるのですが、患者本人は気がつかない状態です。
ただ、皮膚炎の症状が良くなるとともに、しばしば鼻炎や結膜炎の症状が現れるようです。

花粉症に対してステロイドの内服をしていると、それで同時に湿疹も抑えられますが、ステロイドの効果が切れた頃から、湿疹が悪化することがあります。花粉症は頭痛、倦怠感も伴い、日常生活にかなり影響することも多く、ひどいときは点鼻薬や抗ヒスタミン剤などでは効かない場合があります。
そんな時ステロイドの内服はやむ得ないところもありますが、できるだけ最小限に留め、様々な抗原除去を併せて行うようにしたいものです。


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