ヘルペス

Q.
4歳の孫の口の周りにヘルペスが頻繁にできます。
直ったかと思うと、すぐにできるので、本人も気になるようです。
完治する方法はないのでしょうか。

A.
蒸し暑さや紫外線の影響で単純ヘルペスができやすい時期です。

いろんな感染症全般にあてはまることですが、免疫が低下しているとヘルペスができやすくなります。
乳幼児はもともと免疫が大人並になっていないこともあり、感染症にかかりやすい傾向があります。
ただ乳幼児が初めて単純へルペスに感染しても、多くはほとんど症状が出ないで終わってしまいます。

初感染のあと、三叉神経節などの神経に潜伏し、感冒やストレスのたびに口囲にくりかえすのがいわゆる口唇ヘルペスです。
眼囲や首など体のどこにでもできます。
ふつう違和感を伴った赤みから始まり、熱感や痛みやかゆみとともに小さな水疱が広がります。
口内炎もヘルペスが原因のこともあります。

一方、単純ヘルペスを繰り返す患者にアレルギー体質が多く見られます。
また、単純ヘルペスが水痘(これもヘルペス属です)のように発熱を伴って広がる場合があります。
比較的症状の強いアトピー性皮膚炎の患者に多くみられ、別名カポジ水痘様発疹症と呼ばれています。

この患者さんも採血で、白血球数とそれの分画、血清免疫グロブリン濃度、ヘルペスの抗体価やアレルギーの有無などを調べてみてはいかがでしょうか。

単純ヘルペスはヘルペス属に分類されるDNAウイルスで、T型とU型に分けられます。
T型は主に口唇や口内に、U型は陰部にできます。U型の方が再発しやすく、なおりにくい傾向があります。

単純ヘルペスの治療はというと、抗ウイルス剤を内服するか外用する以外にないかもしれません。
ただ抗ウイルス剤を使うと抗体ができにくく、かえって再発しやすいという意見もあります。
重症のカポジ水痘様発疹症では抗ウイルス剤を点滴することもあります。
抗ウイルス剤を毎日少量内服して発症を抑える方法もありますが、子供には余りすすめたくありません。
結局は対症療法で経過を見ながら、患者の成長を待つ以外にないかもしれません。

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