白斑

Q.
5〜6年前から両手の指先及び周辺に「白斑」が発生し、病院で紫外線の照射を2週間に一度、十分ほど受けておりますが、よくなりません。
今後全身、特に顔などに広がることを心配しております。
予防、治療法について教えていただけないでしょうか。
(60歳男性)

A.
皮膚の色素をつくる細胞をメラノサイトといい、皮膚表皮の細胞にメラニン顆粒を供給しています。
このメラノサイトの異常によって色素が失われた病気が尋常性白斑(しろなまず)です。

白斑が1、2個程度の部分的なものから全身に多発して広範囲に白くなるものまで症状は様々です。
こすれたり当たったりするところに左右対称にできる傾向があります。
この場合の原因として、自己抗体がメラノサイトを破壊するような自己免疫異常が考えられます。

また、白斑が神経の支配領域に一致して体の片側だけにできるタイプもあります。
この分節型は小児に多く、治りにくいようです。

ご相談の白斑は、限局型の尋常性白斑と考えられます。
ただ他の部位に拡大し、汎発型に変わる可能性があります。
なお、汎発型では甲状腺機能亢進症など他の自己免疫疾患が合併していることがあります。

傷がつくとそこから新しい白斑ができることがあり注意が必要です。
治療はといえば、免疫を抑えるものとしてまず使われるのがステロイド外用剤。
ひどくなればステロイドの内服も処方されますが、副作用のわりにどちらもそれほど効果はないようです。
免疫抑制剤のプロトピック軟膏も効き目は似たようなものです。
これらの外用剤の治療は患者や医師の負担が少なく、初期治療に向いています。

日焼けすると白斑は目立ちますが、日光浴はむしろ治療になります。

光感受性物質をつけて長波長紫外線を照射する外用PUVA療法、内服して照射する内服PUVA療法が行われています。ただ著効するというほど効果はなく、熱傷その他の危険性もあります。

波長範囲の狭い紫外線を用いたNarrow-band UVB療法も行われています。

活性型ビタミンDの外用剤は著効しませんが、小範囲なら副作用も少なく使いやすいようです。
これを日光浴や紫外線療法と併用するとよいという報告があります。
他の部位の皮膚を植える植皮術も行われています。
今後自分の皮膚を培養してそれを植皮する再生治療が期待されます。


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